マタニティヨガとは
マタニティヨガとは、妊娠中の女性であっても、身体に無理な負担をかけることなく続けることができる運動です。激しく身体を動かすわけではありませんし、寧ろ、ゆっくりな動作を伴う運動ですから、運動が苦手な方であっても問題なく行うことができますし、「運動している」というよりも、ストレッチ感覚で出来るのが良いのではないかな、と思います。ヨガは、激しい動きはなくとも、身体の様々な部分を伸ばすことができますし、また普段はあまり使わない筋肉をほぐすことができますので、妊娠中によく起こるこむらがえりや、運動不足を解消するのに最適なんですね。
特に、妊娠後期(満28週以降。妊娠7ヶ月以降)はお腹が大きくなってしまいますので、普通の姿勢を保つことも難しくなり、どうしても姿勢が悪くなってしまったり、身体の一部分に負担がかかってしまったりします。それによって、腰痛や肩こりに悩まされる方も少なくありません。しかし、マタニティヨガならば、そんな負担がかかってしまっている身体の様々な部分の緊張をほぐすことができ、そしてそれは、出産に向けて身体のバランスを整える効果も得ることができるのです。
ちなみにヨガというのは有酸素運動です。有酸素運動というのは、身体に十分な酸素を取り入れながら行う運動のことを言い、ヨガ以外にも、ウォーキング・エアロビクス・サイクリング…などが該当します。運動中・運動後に息が上がってしまうような運動とは違い、運動が苦手な方、体力のない方でも気軽に始めることができるのですが、しかしそれなりに長い時間をかけて行わなければ効果を得ることができませんので、各有酸素運動に応じた時間は少なくとも続ける必要があります(一般的には最低でも、20分~30分以上その運動を続けなければならないと言われています)ただし、運動強度の軽いものばかりなので、30分以上続けることは決して難しいことではないと思いますよ。有酸素運動で酸素を体内に取り入れることにより、脂肪を消費する他、遅筋(赤筋とも言い、生命維持のために働く筋肉のこと。主に身体の内部にある筋肉)を鍛えることができます。遅筋は、小さな筋肉で、ゆっくりと収縮するため、持久力を引き出す時に使われるのです。遅筋を鍛えると、エネルギーを生産できる筋肉を作ることができるので、結果として、脂肪を燃焼しやすい身体を作ることが可能となります。
ヨガとは
そもそもヨガというのは、古代インド発祥の修行法で、ヨーガと称することもあります。姿勢(アーサナ)・呼吸法(プラーナーヤーマ)を重視した健康のために行うヨガの他、瞑想をして精神統一をはかるために行うヨガ…など、ヨガとひとことで言っても、その種類は複数存在します。ヨガという言葉は、サンスクリット語なのですが、縛る・結ぶ・繋ぐ・統一…という意味を持っている他、本人の注意を導き、集中し、使い、応用する…という意味も持っています。ヨガを行うことで、心身と精神を結合させることができ、自己を見つめなおし、新たに見出すことができると言われています。
ヨガの起源は定かではないようですが、紀元前2500年~1800年のインダス文明の頃に、ヨガの起源となるものがあったのではないか…と言われています。というのも、インダス文明の都市遺跡であるモヘンジョ・ダロから、坐法を組んで瞑想をする神像や、様々なポーズをとった陶器製の像が発見されており、それらがヨガを彷彿させるものばかりだからです。ヨガ(ヨーガ)という言葉が登場する最も古い書物は、紀元前800年~500年前の、古ウパニシャッド初期に成立したという「タイッティリーヤ・ウパニシャッド」ですが、紀元前350年~300年前に成立したという「カタ・ウパニシャッド」には、ヨーガ最古の説明が記されているのだそうです。
日本へ最初にヨガが伝わったのは、806年(大同元年)に空海が唐から帰国した頃にまで遡ります。ただ、ヨガという言葉ではなく、この頃は、揄伽(ゆが)という言葉でした。この揄伽は、仏教におけるサンスクリット語の音写語であり、感覚器官が自らに結びつくことで心を制御する…という精神集中法や、自己を絶対者に結び付ることによって瞑想的合一をはかる…という修行法でした。最近人気となっている、心身の健康法として用いられているヨガは、これらの由来するのだそうです。この美容法・健康法の1つとして流行しているヨガは、昭和時代に伝播したのだとか。一時は、伝統的ヨガを導入した新興宗教団体の存在と、その団体が起こした事件の影響で人気に陰りを見せたものの、再び2004年頃から健康ブームと共に徐々に人気を取り戻し、現在ではダイエット法・健康法の1つとしての地位を獲得しているといっても過言ではありません。フィットネスクラブやジムなどでは、エアロビクスなどと同様に、スタジオプログラムの1つとして取り入れているところも多く存在します。ただ、この流行というのは、インドから流入したものではなくて、アメリカのニューヨークやハリウッドの流行が日本にやってきたもののようです。最近では、この日本で流行しているヨガが、インドへ逆輸入されているのだそうですよ。
ヨガの種類としては、伝統的ヨーガであるハタ・ヨーガ、ラージャ・ヨーガ、カルマ・ヨーガ、パクティ・ヨーガ、ギャーナ・ヨーガ、マントラ・ヨーガ、ジャパ・ヨーガ、クンダリニー・ヨーガ、クリヤ・ヨーガなどがあります。また、これら伝統的なハタ・ヨーガにフィットネスの要素などを取り入れ、改良したものが最近人気の健康法としてのヨガになるのですが、これには、ヴィニ・ヨーガ、アシュターンガ・ヨーガ、パワー・ヨーガ、マタニティ・ヨーガ、アヌサラ・ヨーガ、阿字観・ヨーガ、ヨーガ・セラピー…などがあります。
現在、日本で人気のヨガは、様々なポーズを行うことで、身体の歪みを矯正し、身体の柔軟性を高め、体力を向上させる効果があります。そのポーズに呼吸・瞑想を組み合わせることにより、集中力が高まって、穏やかで、そして前向きでゆるぎない精神状態をつくり出すことができるのです。このうち、身体の歪みを治す…つまり正しい姿勢に戻すことで、身体が引き締まり、美しく健康的なボディラインを手に入れることができるため、ダイエットや美容に関心のある女性に高い人気を誇っているのです。たかが身体の歪み…と思われるかもしれませんが、姿勢が悪く、身体を歪めてしまうことで、脂肪がつきやすくなったり、太りやすくなったりするので、身体の歪みを軽く見てはいけません。それに呼吸を制御することで、活力・集中力が増していき、身体と心を結びつけてくれるのです。呼吸が身体と心に及ぼす影響というのは非常に大きいんですよね。深呼吸1つをとってみてもわかりますが、敢えてゆっくりと深く息を吐く、息を吸う…を繰り返すだけで、身体に入った余計な力が抜けてリラックスしますよね?それと似たような効果を、ヨガの呼吸法では得ることができるのです。また、しっかりと呼吸をすることで、細胞の1つ1つに酸素が送り込まれることになりますから、身体の内側から活性化させる効果も期待できます。
ヨガを行うことで得られるものとは、丈夫で柔軟な身体・姿勢の良さと脂肪のつきにくい体・整った体内環境と老化防止・ストレスのない心…などが挙げられます。
丈夫で柔軟な身体というのは、ヨガには本当に多種多様なポーズが存在しますから、それらを行うことで筋肉や関節などの柔軟性が増していき、しなやかで丈夫な身体へと徐々に変化していきます。骨も関節と共に鍛えられますので、現代人に多いとされる骨粗しょう症の予防に繋がりますし、他にも関節痛の予防などにも役立ちますよ。
姿勢の良さと脂肪のつきにくい体とは、これは先ほども触れましたが、筋肉がつき、身体の歪みを矯正されるため、バランスの良いボディラインを取戻すことができます。加えて、正しく美しい姿勢を保つようになるので、見た目も美しくなりますよね。正しく美しい姿勢というのは、コアとよばれている体幹の深部の筋肉群が鍛えられるので、脂肪のつきにくい身体にもしてくれるのです。
整った体内環境と老化防止というのは、筋肉を伸縮させ、そして深い呼吸を行うことにより、リンパの流れ・血行が促され、それに伴って内臓も活性化することから、心臓発作・脳卒中などの重篤な病気の予防にも繋がる…ということです。また、便秘の症状を緩和させるなど、腸にも働きかけることが可能なヨガは、腸内環境をも整えて、体内をキレイな状態にしてくれます。腸内環境と整え、体内を浄化しておくと、健康だけでなく美容にもとても良いのです。肌トラブルを予防することもできますし、老化防止にも繋がりますよ。
ストレスのない心というのは、ヨガで行うポーズや呼吸法は疲労回復がある他、瞑想効果でリラクゼーションを得ることができるためです。ちょっとしたことでイライラしたり、不安になったり…という、どちらかといえばマイナスの感情を、ヨガを行うことで落ち着かせることができたり、またストレスを軽減することができますので、不眠・偏頭痛などのストレスによる様々な症状を抑えることにもなりますし、前向きで安定した精神状態を保つことも期待できるのです。
ヨガは運動や身体を動かすことが苦手な方でも始めやすいものです。基本がポーズと呼吸ですから、難しい技術なども必要ありませんし、道具なども不要です。たとえ身体が硬い方でも、少しずつ自分で出来るところか始めていくことで、徐々に身体が柔らかくなっていきますし、そうなると楽しさも増してきますよね。老若男女問わず出来ることからも、身体に無理な負担を与えないことがわかります。また、冷え・肩こり・むくみ…などの症状は、悩んでいるものの、病院へ行くほどではない…といった症状ですよね。そんな症状も、ヨガをすることで、血行の循環を促してくれる他、ホルモンバランスを整える作用もありますので、これらの症状も徐々に改善されていくはずです。更に、女性特有の症状である、更年期障害や月経に関連した様々な症状も緩和することができますよ。
マタニティヨガのメリット
マタニティヨガには、多くのメリットが存在します。運動不足の解消・筋肉疲労の軽減・肩こりの解消・妊娠周期や体調に応じてポーズや時間を調節することが可能・血行を促進させる・分娩時の呼吸の練習ができる・身体だけでなく精神的にもリラックスできる・外出しなくても行うことができる・産後の続けることが可能…などが主なメリットではないでしょうか。
運動不足の解消というのは、やはり、マタニティヨガは、妊婦さんであっても続けることができる…というのが大きいと思います。妊娠することで、これまでは当たり前のように行ってきたことを制限されてしまうことが少なくありません。その1つが運動です。妊娠中だからといって、身体を動かしてはいけない…なんてことはありません。寧ろ、身体を動かすことがとても重要だったりします。しかし、だからといって妊娠していない時のように、激しい運動をしたり、走り回ったり、飛び回ったり…というような運動をするわけにはいきませんよね?マタニティヨガは、最初にも挙げましたが、激しい運動をするわけでも、走り回るわけでも飛び回るわけでもありません。ストレッチの延長のような感じで、しかし確実に身体の筋肉や筋を伸ばしたり、ほぐしたりできる運動ですから、たとえ動きがゆっくりだとしても、マタニティヨガによる運動効果は非常に高いものなのです。ゆったりと優雅な動きですから、「たいした運動はでいないんだろう」と思われるかもしれませんが、実際にやってみると、これがまた意外に身体の様々な部分に効果があることが実感できると思いますよ。ヨガを30分続けるだけで、身体が温まったり、汗をかいたりすることも珍しいことではありません。本来のヨガとマタニティヨガとでは、内容は異なるわけですが、得られる効果の高さに差はありません。それに、マタニティヨガは決して難しいものではありませんから、これまでにヨガを体験したことがない方でも、問題なく行うことができます。複雑な動きがあるわけでもありませんし、技術的な何かが必要なわけでもありません。
更に、妊娠中の運動不足を解消することができるので、体重増加によって起こる妊娠中毒を予防することもできますし、食欲の抑制にも効果があります。妊娠中は、昔こそ食欲を我慢せず、お腹の中の赤ちゃんのためにたくさん食べた方が良い・・・と言われていましたが、現在はできるだけ体重は増やさないことを重視しています。体重管理も行う必要がありますし、もちろん食事内容にも気を付けなければなりません。理想としては、体重増加は8kgほどと言われているのですが、しかし、プラス8kgまでに抑えるのはかなり大変かと思います。そこで、食べる量を我慢して制限するのではなく、動くことでカロリーを燃焼をさせて体重をコントロールすることができます。
筋肉疲労の軽減、肩こりの解消…は、先ほども触れましたが、ヨガのポーズは血行促進に繋がりますので、肩や首のコリをほぐしてくれますし、日頃あまり使わない筋肉を伸ばすことができますので、ストレッチ効果も得ることができます。妊娠中はこむらがえり・腰痛に悩まされる方も多いと思いますが、マタニティヨガはそれらの予防にも良いですよ。更に、出産などで損傷しやすい骨盤底も、マタニティヨガによって鍛えることもできます。
妊娠周期や体調に応じてポーズや時間を調節することが可能…というのは、マタニティヨガにも様々なポーズがあります。もちろんポーズごとに効果も異なってくるわけですが、比較的楽にできるポーズ、ちょっと頑張ってできるポーズ…と人によって得手不得手も出てきます。本来のヨガであれば、少しずつ難しいポーズに挑戦していくのでしょうが、マタニティヨガはあくまで妊婦さんが行うヨガですから、挑戦よりも、無理なく続けることが大切なのです(もちろん、本来のヨガも続けることが大切ですけどね)その日の体調に合わせて、自分にできるポーズだけをしても問題ありませんし、体調が悪くてしばらくマタニティヨガを休んだとしても、また再開しやすい運動なんですね。
分娩時の呼吸の練習ができるというのは、ヨガは呼吸もとても重要な要素となってきます。もちろん特別な呼吸法というわけではなく、ゆっくり吸ってゆっくり吐く…という簡単な呼吸法ですが、分娩時というのも呼吸は大切になってきますから、マタニティヨガとお産時の呼吸の仕方がリンクし、分娩時にも役立つのです。無理のないポーズを呼吸法に合わせて行うことで、出産に必要な筋肉をつくったり、股関節や骨盤の結合部を柔らかくすることもできますので、分娩に対する不安を解消すると共に、胎児にも良い影響を与えることができます。
身体だけでなく精神的にもリラックスできるというのは、妊娠中・出産前は、体調が日によって変わったり、また様々な制限によってストレスを溜めたり、出産に向けて不安が募ったり…と、精神状態が不安定だったりもします。すぐにイライラしたり、怒りっぽくなったり。逆に、悲観的になったり、すぐに泣いてしまったり(泣くこと自体が悪いわけではありませんが)…と、妊娠前と精神状態が違う方も少なくありません。妊娠中というのは、ストレスをできるだけ感じないように、溜め込まないようにすることが大切です。基本的には、妊娠前と同じような生活を続けることが可能とはいえ、我慢しなければならないことも当然出てきますし、安静にした方がいいから…と動かないことで、更にストレスを溜め込むことにもなってしまいます。マタニティヨガは、慌しく行う運動ではなく、ゆったりとした時間をもって行う運動です。ゆっくりとした呼吸を繰り返し、ゆっくりと身体を動かすなかで、徐々に気持ちが落ち着いてきたり、自分自身を振り返ってみたり、自問自答してみたり…と、精神的に良い方向へ転じることが多いのです。ゆっくりでも身体を動かすわけですから、ストレス解消にも繋がりますしね。
外出しなくても行うことができるというのは、マタニティヨガは自宅でもできるためです。もちろん、スポーツジムや病院・産婦人科などでマタニティヨガを行っているところもありますから、それらを利用しても全く問題はありません。外に出ることで滅入っていた気持ちが晴れることもありますし、人とコミュニケーションを図ることもできますので、そういった楽しみもプラスに働くと思いますから、トレーナーや先生に習ってマタニティヨガを習ってしっかり行うのも良いかと思います。ただ、「わざわざ通ってまで、ヨガをしなくても…」という方は、自宅でも気軽にできますよ…ということなんですね。この場合、自宅で1人でヨガをすることになると思うのですが、周囲に合わせる必要もありませんし、体調が優れないのを無理してキツいポーズもせずに済みますから、精神的に楽ではないかな、と思います。「1人で自宅でどうやってマタニティヨガをやるの?」と思われるかもしれませんが、インターネット上には、マタニティヨガのやり方を詳しく紹介しているサイトが多くあります。なかには、動画や画像付きで紹介しているサイトもありますので、それらを見ながら始めてみてはいかがでしょうか。
産後の続けることが可能というのは、これも自宅で行うことができるから…という点です。赤ちゃんが生まれると、そのお世話で精一杯で、外に出掛けるのは難しくなります。寝不足にもなるでしょうし、子育てと家事の両立に加えて、外に出掛けて運動をする…というのはかなりキツくなります。マタニティヨガならば、出産前に行っていたヨガを自宅で、そして好きな時間に行うことができますから、気軽に行うことができるんですよね。産後は体型が気になる方も多いかと思いますが、妊娠中からマタニティヨガによって筋肉をつくっておけば、出産時に受けるダメージを最小限に抑えることができる他、産後の体型の回復も早くなります。人によっては、妊娠前よりも美しい体型になることもあるようです。産後にヨガを行うことで、出産時に歪んでしまった骨盤を正しく引き締めることができますよ。また、産後の育児で、赤ちゃんを抱っこすることが多くなり、それによって肩こり・腰痛に悩まされる方も多くいらっしゃいます。マタニティヨガを続けることで、筋肉がつき、肩こりや腰痛を防ぐことにも繋がりますよ。
マタニティヨガの注意点
マタニティヨガを始める際に注意したい点は、無理をしない・疲れたら中断する・お腹が張っている時は控える・食前食後2時間は避ける・心配ならば担当医に相談する・体調が悪い時は控える・妊娠初期時は避ける…などが挙げられます。
無理をしない、疲れたら中断する、体調が悪い時は控える…というのは当然ですよね。大切なのはお母さんの身体と赤ちゃんの健康です。無理をしてまで運動をするメリットは一切ありません。それに、ヨガの全てのポーズを妊娠中に行えるわけではありません。お腹を圧迫するようなポーズは避ける必要がありますし、決してお腹を圧迫させないポーズだとしても、身体がキツかったり、ツラく感じる場合はそのポーズは避けるようにしてください。マタニティヨガというのは、どちらかというと、身体を動かしたりすることよりも、精神の安定を目的としています。力を抜いて、「運動するぞ!」という気合を入れるのではなく、ゆったり過ごす時間と思って、好きな音楽をかけたり、季節が良ければ、窓を開けて空気を入れ替えながら行ったりしてください(ただし、冷えてはいけませんので、部屋を温かくするように努めてください。極端な話、空気を入れ替えるといっても、真冬に窓を開けて行う必要はありません)
お腹が張っている時は控える…ですが、お腹が張るというのは、妊娠した子宮が大きくなるために起こります。つまり、子宮の筋肉が増えたり、伸びたり、血流が多くなることで起こる症状なんですね。軽い生理痛に似たように感じる方もいれば、下腹部が引っ張られるような感覚を感じる方も…と、人によって感じ方や症状は違いますが、妊娠によって身体が変化していくサインでもありますので、特に心配する必要はありません。ただ、これも子宮の収縮によるお腹の張りは注意する必要があります。お腹が大きくなるにつれて、子宮あたりが硬くなることがありますが、これは子宮収縮によるものなんですね。子宮は筋肉でできた袋のようなものですから、子宮があるあたり部分が、収縮すると力こぶのように硬くなります。もし、手のひらでそっと触れて、柔らかさがいつもと違っていたら、まずは安静にするようにしてください。しばらくして硬さがなくなり、お腹の張りもなくなれば特に問題はありませんが(といっても、無理せず様子をみてください)、もし1時間に何度もお腹の張りを感じたり、張っている最中に痛みを感じたり、出血がある場合…等は、速やかに病院へ連絡し、指示を受けてください。
食前食後2時間は避けるというのは、胃のなかが空っぽの状態だったり、逆に胃に食べ物が詰まっている状態でマタニティヨガを行うと、気分が悪くなってしまう可能性があるからです。食後直後は特に、胃に血液が集中しやすくなっている状態ですから、血液循環率が悪くなってしまいます。同様の意味で、入浴後すぐに行うのも避けてください。
心配ならば担当医に相談するというのは、特に心配事がない場合でも、健診時にマタニティヨガをやっても良いかどうかを訊いてみることをオススメします。妊娠中とひとことで言っても、人によって状態や体調等は異なりますし、担当医から注意すべき点や、アドバイスなどを貰えるので参考にすることができます。
妊娠初期(満15週まで)時は避けるというのは、身体の変化からみると、最もヨガがしやすい体型ではありますよね。お腹も大きくなっていませんし、寧ろ、妊娠する前とそれほど体型に変化がない方も少なくありません。しかし、そうであってもやはり妊娠はしているわけですし、妊娠初期というのは非常に体調が変わりやすい不安定な時期でもあります。加えて、胎児の状態も未発達な機能が多いので、流産してしまう危険性もありますから、安定期に入るまでは安静を心がけてください。人によって体調などは違いますので、一概に言い切ることはできませんが、目安としては、安定期に入った妊娠中期(満16週~満27週)頃から始めても問題ないとされています。しかし、素人判断は良くありませんので、健診時に担当医に相談してから始めるようにしてくださいね。
また、最近はヨガのなかでも、ホットヨガというものが人気です。ホットヨガというのは、室温40度・湿度55%ほどの室内で行うヨガのことなのですが、このホットヨガは発汗量が通常のヨガよりも多く、デトックス効果があるとして、美容・ダイエット・健康を目的に行う方が増えているのです。確かに、汗をかくことは大切ではあるのですが、しかしその分、疲労感も強いため、妊婦さんには向いていません。興味がある場合は、産後に行うようにしてください。
マタニティヨガを始める際の準備
マタニティヨガを始めるからといって、何か特別なものを購入したり、買い揃える必要はありません。なんとなく、ヨガをする場合は、身体のラインにフィットした服を着て、マットを敷いて行う…というイメージがあるかもしれませんが、それらを用意しなければならないわけではありません。寧ろ、妊娠中に行うヨガなので、ウエスト部分はゆったりした服を着るようにしてください。とにかく、お腹に負担をかけないことが最も大切なことなのです。マタニティヨガ中にお腹を締め付けてしまったことで、気分が悪くなったり、お腹が張ってしまったりすることも十分にあり得ることですから、お腹を締め付けず、そして足が冷えてしまわないように注意することも大切です。ショートパンツで行うよりは、スパッツやレギンス、靴下を履いた方が、足の冷えを防ぐことができます。
あとは、首元や袖口は、身体を動かす時に邪魔にならないようなものが良いかと思います。ゆっくり身体を動かした後、数秒間同じポーズを保つこともあるので、その時に顔などに生地がかかってしまうと邪魔ですから、シンプルな服装が良いと思いますよ。
下に敷くマット(ヨガマット)は、持っていなくても、自宅であればカーペットや布団の上でヨガを行えば良いので、わざわざ購入する必要はありません。フローリングの上でマタニティヨガをする場合は、冷えを防ぐこともできますしね。ただし、激しい動きはしないにしても、足元が滑ってしまうこともありますので、十分な注意が必要です。もし、クッションなどがあるのであれば、ポーズをつくる時に身体を支えることもできるので便利ですよ。
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